「室温保存」を守れる店、守れない店 ドラッグストア新規出店で考える、医薬品の温度設計
「室温保存」「要冷蔵」——医薬品の箱や添付文書に書かれた保管条件。これを守るのは冷蔵庫の役割だと思われがちですが、実際には売場全体の温度環境が医薬品の品質を左右します。そして売場の温度を保てるかどうかは、新店舗の設計段階でほぼ決まります。本コラムでは、ドラッグストアが新規出店時に押さえるべき「医薬品の温度設計」を、医療施設で培った温湿度管理の視点から整理します。

医薬品の保管温度は、薬局方と法令で決まっている
医薬品の保管温度は感覚で決めるものではなく、明確な基準があります。日本薬局方では、保管に関わる温度が次のように定義されています。
| 区分 | 温度の範囲 |
|---|---|
| 標準温度 | 20℃ |
| 常温 | 15〜25℃ |
| 室温 | 1〜30℃ |
| 冷所 | 1〜15℃(別に規定するもののほか) |
| 要冷蔵(実務上) | おおむね2〜8℃ |
「室温保存」の医薬品は、原則として30℃を超える環境での保管に適しません。さらに、医薬品を扱う店舗には冷暗貯蔵のための設備を備えることが法令(薬局等構造設備規則)で求められています。医薬品は温度だけでなく、湿度や光によっても品質が変わるため、これらをまとめて管理する必要があります。
なぜ“売場”で温度が崩れるのか
売場の温度は、店舗の構造によって思った以上にムラが生じます。とくに次のような場所は、温度が基準から外れやすいポイントです。
- 出入口付近:自動ドアの開閉で外気が入り込み、夏は高温・冬は低温になりやすい
- 窓際・店頭:直射日光(とくに西日)で局所的に温度が上がる
- 冷凍冷蔵ケース周辺:ケースの排熱と冷気だまりで温度差が生まれる
- 空調の死角:吹き出しが届きにくい棚やコーナーは熱がこもりやすい
これらの場所に「室温保存」の医薬品が陳列されていれば、夏場のピーク時に30℃を超えるリスクが現実になります。
「夏の昼下がりに店頭近くの棚の温度を測ったら、想定より高くて。商品の品質を考えると、置き場所と空調の効きを見直す必要がありました。」
※想定される現場の声(イメージ)「冷蔵庫さえあればいい」ではない理由
要冷蔵の医薬品は冷蔵設備で管理しますが、売場に並ぶ医薬品の多くは室温保存品です。つまり、冷蔵庫だけを整えても、売場全体の温度・湿度が保てていなければ品質は守れません。とくに梅雨から夏にかけては湿度も上がり、湿気や結露が品質や包装に影響することもあります。冷蔵設備と売場の空調は、一体で考える必要があります。
医療施設の温湿度管理を、店舗に応用する
温度と湿度を一定に保つ技術は、病院や医療施設の空調で長く求められてきた領域です。中部エアークリーナーは、名古屋市医師会・西三河医師会・東三河医師会・愛知県歯科医師会の指定業者として、病院・医療施設での空調設備の設計・施工・メンテナンスを数多く手がけ、清潔な空気環境と温湿度管理のノウハウを培ってきました。
この「快適性のためではなく、品質のための空調」という視点は、医薬品を扱うドラッグストアの売場づくりにそのまま応用できます。医薬品を“商品”としてだけでなく“品質を守るべき対象”として捉えた空調設計こそ、これからの店舗に求められる考え方です。
品質を守る空調は、新店舗の“設計段階”で作り込む
売場のレイアウトと温度ムラは、開店後に直そうとすると大がかりな工事になります。医薬品の品質を守る空調は、出店の設計段階で——陳列計画と空調のゾーニング、機器の選定と容量、冷凍冷蔵ケースとの連携を——あらかじめ作り込んでおくのが確実です。
「どこに何を置き、その場所の温度をどう保つか」を図面の段階で決めておくことが、開店後の品質リスクを避ける最短ルートになります。
まとめ
医薬品の温度管理は、快適性ではなく品質の要件です。そして売場の温度を保てるかどうかは、新店舗の設計段階でほぼ決まります。新規出店を計画する段階で、医薬品の保管環境を空調設計に織り込んでおくことが、商品の品質と店舗の信頼を守ることにつながります。
- 名古屋市医師会・西三河医師会・東三河医師会・愛知県歯科医師会 指定業者
- ダイキン認定 販売施工店
- 空調・換気の補助金 採択率 97.3%(2026年4月現在)
株式会社中部エアークリーナー
※本コラムは一般的な情報提供を目的としています。医薬品の保管基準の具体的な運用は薬剤師等のご確認を、空調設計の詳細は専門担当者へのご相談をおすすめします。
